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『エルスール財団記念館~詩とダンスのミュージアム~』再訪

2023/06/13

フラメンコ舞踊家 野村眞里子さんから、「舞踏の貴重な資料もありますよ」と声をかけていただき、4月末、エルスール財団記念館~詩とダンスのミュージアム~を初めて訪問した。

いやー、驚いた。
今までこのミュージアムの存在を知らなかったのが悔やまれた。
たくさんの蔵書、ビデオ、LP、CD、DVD、、、文字通り宝の山。
それらを閲覧することが出来るのだから、なんともありがたい。
フラメンコはもとより、コンテンポラリーダンス、舞踏、詩、そして映画(私の好きな「去年マリエンバードで」のDVD発見!)などなど、貴重な資料を見つけるたびに歓声を上げる私であった。
(開館日:木~日曜、入館料:一般500円 学生・生徒/300円)

この日は、土方巽の「疱瘡譚」を実際にご覧になったという詩人 野村喜和夫さんに、舞台の話を伺うことも出来て、なんとも豊かな一日となった。

またすぐに来ます!と言ったものの、慌ただしく時が過ぎ、ようやっと先週6月8日、再びミュージアムを訪れることが出来た。

プレーヤーが無くて、長年飾ってあるだけのLP2枚。
そうだ!これを寄贈させていただけないだろうかと思い立ち、野村さんにお伺いしたところ、是非!との嬉しいお返事。
こちらに置いていただければ、たくさんの人に聴いてもらえるし、私も聴くことが出来る。

1枚はAntonio Mairena の名盤「Cien ANOS DE CANTE GITANO(アントニオ・マイレーナの遺産 第1集 フラメンコの百年史を歌う)」
CD化されているので、持っている方も多いはず。私もCDで聴いている。
が、LPを手にした時のあの感触、サイズ感は何か特別だ。もちろん音も違う。

もう1枚は、ヘレス在住のアフィシオナーダ、堀江啓子さんから何年も前にいただいた、大変貴重な Antonio Agujetas と Moraito Chico のLPだ。
ジャケット写真も素晴らしく、眺めるだけでも価値があるが、いやいやそれじゃあ勿体無い。
私の家に埋もれるより、こちらのミュージアムでアフィシオナードの耳に触れる方がいいに決まってる。
私のDVDも置いていただけるということで、図々しくも一緒に持参させていただいた。

野村さんと、舞台の話に花を咲かせながらも、若き日のアントニオとモライートの演奏に耳を傾ける。
プーロ、の一言。
フラメンコは不思議だ。
アントニオの声ははっきり言って濁声だ。しかし、その声には一点の曇りも無い。
モライートのギターは、余分なものはなく、足りないものもない。
あるべき音がそこにある。だから、澄んでいる。
カンテとギターのみで、限りない美が生まれる。
こういうフラメンコを聞くと、心は欺瞞を遠ざけてしまう。

またゆっくりと時間が取れる時に訪れよう。
丁寧な防音がされ、静寂に包まれたミュージアムには、
先人達のアルテがそこかしこに息づいて、心が躍り出すのだ。

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