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『Sin Fronteras』
アルハムブラにて

2023/10/31

8月末、ヘレス出身の歌い手Manuel de la Malena から、
同じくヘレスの踊り手Rocio Romero とユキと2人、アルハムブラやるのはどうだ?というメールが届く。
迷うことなく引き受け、
10月13日、Sin Fronteras と名付けたライブが実現しました。
ギタリストは、私同様ヘレスのフラメンコに魅せられた西井つよしさん。
そしてパルマは稲田進さんです。

Rocioは、今年の夏スペインでの大きな仕事を経ての堂々の踊り。
1部のソレア・ポル・ブレリア、2部のシギリージャも、Manuel のカンテから否応なくヘレスの匂いが充満し、
それに西井さんが渾身のギターで応えます。
Rocio は彼のファルセータに即興のマルカール、エスコビージャを澱みなく重ねていく。
終演後、ソレア・ポル・ブレリアもシギリージャも、ヘレスのファルセータで踊りやすかったわ、とのロシオの言葉に、
西井さん、とっても嬉しそう。
よかった。

私は1部はアレグリアス。
2部は、人生初のバタ・デ・コーラのソレア。

バタ・デ・コーラに惹かれる時が来るなんて、思ってもみなかったが、
何故か気になり出して、少しずつRocio に習ってきた。
途切れ途切れに習っていたソレアの振付がようやく終わり、
バタ・デ・コーラを自分の身体の一部にするには、まだまだ長い道のりだが、
共演がRocio、そしてManuel のカンテ、私の踊りをよく知る西井さんのギター、稲田さんのパルマ、
こんないい機会はないと励まされ、今回思い切って踊ることにした。

練習すればするほど、何故かうまく捌けなくなる苦しい日々。
当日のリハもひどい出来だった。
しかし、本番はManuel の深いカンテが、邪心を取り去ってしまった。
カンテを捕まえようと、身体が動いていく。
少しずつ、踊りに入っていく。
するとコーラは、扱いが難しくて重いものではなく、
カンテを受け止める表面積が増えた分、
実際の私の身体以上に大きなうねりを起こす魔物になる。

さてさて、そうは言っても、バタ・デ・コーラの踊りとしてはまだまだ未熟なのだ。
しかし、無事にソレアを踊ることが出来た。
Manuel、Rocio、西井さん、稲田さんのお陰である。

バタ・デ・コーラ。
一度その魅力に気が付くと、たまらなくこれで踊りたくなるのよ、とRocio が言っていた。
まさか、と思ったけれど、
今はあの長く重い裳裾が恋しい。

この、2度とないデビュー戦を観てくださったお客様、
本当にありがとうございました。

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