『de la Breña -薮に覆われた岩だらけの荒地 から-』
2024/11/29
去る11月17日、高円寺のタブラオエスペランサにて、
de la Breña ー 薮に覆われた岩だらけの荒地 から ー
と題したライブを開催しました。
このタイトルを背負って舞台に立った5名は以下の通りです。
伊藤千紘
2012年にブレーニャに入門。
現在上級クラス在籍。
岡部静香
2010年にブレーニャに入門。
現在上級クラスに在籍し、代教も務める。
古迫うらら(Estudio Flamenco Alba にて教授活動中)
博多在住。
2018年に始まった大沼由紀博多クラス主要メンバーの1人。
西川千鶴(Estudio Aixa主宰)
2006-09、2023-24年にブレーニャ在籍。
現在はオープンクラス生。
近藤尚(ギタリスト伊藤シゲル氏と共にTALLER FLAMENCO主宰)
大沼由紀ブレリアクラスの第一期生。
ブレーニャには2003年まで在籍し、代教も長く務めた。
現在はオープンクラス生。
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1999年。スペインから帰国して5年。
貸スタジオでのクラスや自習に限界を感じ、
スタジオに適した物件を探していた。
そんな時、古いビルの地下の物件を友人が見つけて来てくれた。
足に負担がかからないよう浮床にし、床は無垢材。
防音工事を施し、音がデッドになり過ぎないよう、天井には反射板を付ける。
すでにフラメンコスタジオをいくつか作っていた、防音にも詳しいトライ建築さんが、
技術を駆使して作って下さった。
工事を見に行くたびに、どれだけ心が躍ったことだろう。
1999年7月スタジオ完成に向けて
さて、スタジオにはどんな名前を付けようか。
レトラ集を読んでいたら、
breña という言葉に目が留まる。
「ブレーニャ」と声に出してみる。うん、なかなかいい。
しかし意味が分からない。
辞書を引くと、「薮に覆われた岩だらけの荒地」とあった。
フラメンコにとって全く肥沃ではない土地、ここ日本で、
フラメンコを追求するのだから、
まさにぴったりな名前ではないか。
よし。
私のスタジオ名は、エストゥディオ ブレーニャ にしよう。
それから何年か後、とある本でこんな逸話を見つけ、
驚くことになるとは思いもよらず。
劇団四季の浅利慶太さんが劇団の名前を考えていた時に、思いついたのが『荒地』だった。
しかし、周りの友人に、
「お前、今はいいけど、年取ってからそんな尖った名前は恥ずかしいぞ」と諭され、
著名な劇団フォーシーズンズから『四季』という名前を考えた。
これには参った。
そんな尖った名前を付けてしまったじゃないか。
いやいや、まさにフラメンコらしいじゃないかと己に言い聞かせる。
何せ岩だらけの荒地なので、
ついて来てくれる人はかなり限られる。
太陽が降り注ぐ豊かな土地で、楽しく学びたいのは当たり前だもの。
でも、厳しい荒地から小さな芽が出たら、それはとっても愛おしい宝物。
なかなか芽吹かないのだけれど、
それはそれで、その日を待つという楽しみもある。
継続は力なり。粘り強く。
フラメンコは私たちの文化ではないから、
とっても難しい。
好き、というシンプルな気持ちを持てていないと、迷い子になる。
本心を試されているような道のりだ。
フラメンコが問いかける。
「お前、本当に俺のことが好きなのかい?」
好きな人のことは隅から隅まで知りたくなる。
だから今日も古い録音を聴いて、1人「オレー!」と呟く。
フラメンコへの渇望が、
いつか荒地に花を咲かせる、かも知れない。
ープログラムー
クアドロフラメンコ
- ガロティン(伊藤千紘)
- ロメーラ(岡部静香)
- タラント(古迫うらら)
- シギリージャ(西川千鶴)
- タンゴ・デ・マラガ(近藤尚)
アトラクション
- ソレア(大沼由紀)
フィン・デ・フィエスタ(全員)
ギター 西井つよし カンテ 西容子 パルマ 三枝雄輔