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『ー 西荻を行く ー』

2025/07/02

西荻には、染色作家 千葉祥子さんのSTUDIO Teがある。
この方の色、とにかく、いい。
色と色の合わせ方にもセンスが光る。
ご自身がフラメンコを学んでいることもあり、
フラメンコ関係者にもファンが多いのだが、
かく言う私のその中の1人。
職業的に着替え持参になるので、祥子バッグに諸々突っ込んでスタジオに通う日々。

フラメンコ界だけではなく、中央線沿線にファンが多いようだ。
以前、座・高円寺1に舞踏の公演を観に行ったところ、
会場中央に舞台、その舞台を挟み込むように客席が設えられていたのだが、
舞台挟んで私の向かい側に座った方が、祥子さんのバッグを持っていて、
目が離せなくなってしまった。
終演後、思わず声をかけ、私の肩にもあったバッグを見せると、
「あらー!!!」と、素敵な笑顔。
好みが似た者同士の、ほんの一瞬の交流。
いいなぁ、こういうの。

その祥子さんが、
「フラメンコの貴重なLPがたくさんある店が近所に出来たんですよ!」
と言うので、早速アトリエ近くの店に行ってみる。
するとそこは、あのドン・ポーレンの本の編集をされた柳さんの店であった。
フラメンコ達の必読本「フラメンコの芸術」と「ひとつの生き方」(ドン・ポーレン作、青木和美訳)は、
残念ながらすでに絶版で、今は中古でかなりの値が付いているらしい。

なんでも深く知る好奇心に満ち満ちた柳さんは、
フラメンコを知らずしてドン・ポーレンは出せんとばかり、フラメンコにのめり込み、
とあるアフィシオナードが、貴重な大量のLPを手放すと言う情報を得て、
全て購入したそう。
お店にはその垂涎もののLPが、聴き手を待っている。
(普段はフラメンコはかかっていないので、聴きたい方は是非リクエストを!)
慌ただしさから一歩離れた、ゆったりとした時間が流れる西荻で、
LPで聴くギター、カンテの素晴らしさよ。
(なお、ジャズ、クラシック、なんでこんなの持ってるの?と言った希少な民族音楽も多数、
その守備範囲の広さに恐れ入る)


カディスのカンテを集めたオムニバス盤の中にある、
『Los Chiquitos de Algeciras』のSoleá de Cádiz が素晴らしく、
これはもしやパコとぺぺ・デ・ルシア兄弟か?と、超フラメンコ好きが集まる座学で皆さんに紹介。
Chiquitos という名の通り、子供時代の演奏だが、
ギター伴奏はすでに円熟の境地。
声変わりするかしないかの声は魔物の魅力。
息が長く、また長く、こちらの心をグーっと引っ張ってしまう。
オムニバス盤にはこのソレアしかないので、
他の録音もあるのか?と思っていたら、

数日後、柳さんのお店で、
「最近、荻内勝之先生(スペイン文学者、翻訳者、そして筋金入りのアフィシオナード!)がお見えになるんですが、
貴重なLPを下さるんです。この間はこれをいただいたんですがね、これがいいんですよー」と、
彼の手にあったのは、
このSoleá de Cádiz が入っているアルバムであった。
引き寄せたか?
拝聴。
堪能。

これを書いていて、今頃ふと気になってネットで調べたら、
「Los Chiquitos de Algeciras」YouTubeにありました・・・。
いやー、検索しなくてよかった。
熱望していたら現物が目の前に現れ!そしてLPで味わう!
なんて幸せが無くなってしまったもの。

STUDIO Te は、展示会の時のみオープン。
情報はInstagramに載るそうです。

フラメンコが聴けるお店はこちら。
是非訪ねてみてください。

(現在ランチお休み中。17時頃より開店)

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